「ところでさ、君の夜のおかずって何?」
その質問は唐突だった。
オレは現在、師匠であるシイナと旅をしてる。
シイナは見た目15・6歳で、弟子であるオレがいうのもなんだが、かなりの美少女だと思う。体型は小柄で線も細く、胸もないとはいえないけど服の上からでは判断が難しいレベル。庇護欲を駆りたてられる人も多いんじゃないだろうか。
一方のオレは、まだ10歳代半ばだというのに「おじさん」と呼ばれたことがある老け顔だ。確実に10歳は上に見られてしまうという嬉しくない実績を持っている。
そのため、シイナとオレが一緒に並ぶと、親子とまではいかないけどそれなりに年の離れた兄妹に見られるくらいだ。
そんなのだからか、シイナはオレに師匠と呼ばれることを嫌がっている。
実年齢がどうであれ、年上に見えるオレから師匠と呼ばれるのは、確かに妙だとは思う。だから、オレもシイナのことは名前で呼ぶようにしている。
っと、話がずれでしまったけど、そんなシイナと食事をしている最中の突然の質問だった。
「シ、シイナ! 急に何を!?」
先ほども述べたように、シイナは見た感じは可憐な美少女だ。そんな彼女にそんなことを聞かれて、オレは口に含んでいるものをふき出してしまった。
「汚いなぁ~。食べ物を粗末にしちゃいけないよ?」
「そ、それはそうだけど! 夜のおかずって!?」
慌てるオレに対して、シイナはどこか面白そうな様子だ。小悪魔的な笑みすら浮かべている。
「ほら、君もそういう年頃の男なんだから、溜まったものを抜くでしょ? そのおかず。具体的に何を想像しながらやってるの?」
「いや、あの……、その……」
ニヤニヤしつつ尋ねてくるシイナに、オレは明ら様にうろたえてしまう。
というか、そんな顔でそういう質問をするのは止めて下さい。明らかに分かっていて聞いているでしょう……?
「実はボクをおかずにしているとか?」
「な、なななな、何をー!?」
言い出しますか、この師匠は!? いくらなんでも、そんなこと答えられるわけないでしょうが!!
「ねぇ、どうなの?」
首を少し傾げて、そんな可愛く聞いてもダメです。答えられませんって! それに可愛らしく聞く内容じゃないですから!!
「あ、そうなんだ……。イヤーン、ボク汚されちゃった」
って、人の心を読まないで下さい!!
「でも、君には幼馴染の女の子がいるのに、その娘ではやらないんだね」
そんな、その娘を汚すようなことができますか!? 好きなんだから、汚したくないんですよ!
そんな思いをいえるはずもなく、オレはうろたえるだけである。当然、この思いも読まれている可能性が高いのではあるが、そんなことに気が回るほど冷静でいられるはずがない。
「それにしても、ボクでする分には構わないんだ。あとでお仕置き決定だね」
その後のお仕置きについて、オレは語る口を持たない。何もかも忘れた……。
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