2008年7月3日木曜日

現代小説『学級会』

 誰にとっても、小学校の学級会はつまらないものじゃないだろうか。
 僕にとっても、学級会はつまらないものだった。
 運動会遠足なんかの行事がないときは、特にそう思う。やれ「○○君が悪口を言った」だの、それに対して「謝って下さい」だの、どうでもいい内容だと思っていた。
 今は、そんな学級会の最中だ。ついでにいえば、しばらく何かの行事の予定もない。本当につまらない時間だと思う。
 今日も今日とて、学級委員が教壇のところに立って「何か意見のある人はいませんか?」と聞いている。先生も、進行は学級委員に任せるつもりらしい。特に何もしていない。
 まったく、意味があるんだろうか、こういう学級会って……。
 そんなどうでもいいと思っていた学級会の最中、クラスでも成績優秀で優等生の大山君が手を挙げる。学級委員も挙手をした大山君を当てて発言を促す。
「今日のお昼休みの13時12分43秒ごろのことです。林君が、俺がうマルこを踏んだと言ってきました。どうしてそんなことを言ったのですか? 謝って下さい」
 う、う○こ……? どうして、学級会でう○この話が出てくるの!?
 しかも、うマルこって何? どうしてマルつけて言ってるの、大山君!?
 大山君は、僕だけではない、皆のそういう疑問を感じ取ったのか、
「いや俺、お上品だから。ちゃんと伏せとかないと」
 とのたまわったのである。
 いや、う○この話をしている時点で、全然上品じゃないから! マルつけて伏せたって意味ないから!!
 それに、自分でう○こを踏んだことをクラス中にバラしているじゃん!
 この時ばかりは○時○分○秒という秒単位までいうことも、謝って下さいということも、ネタとしか思えない。
 言われた林君の方も、
「いや、だって、うマルこ踏んだんだぜ? 普通言うだろ?」
 と大山君に対抗したのか、マルってつけて言ってるし!!
 その後、発言する人全員が、う○こにマルを付けていったのは、言うまでもないことだと思う。
 というより、これだけ伏字での発言が飛び交う教室というのも、かなり異様な光景じゃないかな。
 え? 落ち?
 現実には、落ちなどなかなかないものなのだよ、明智君。
(って明智君って、誰?)

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