2008年6月21日土曜日

現代小説『就職面接』

 コンコン
「どうぞ、お入り下さい」
「失礼します」
 現在僕は大学四年生。就職活動真っ最中だ。今月に入り、もう内定を貰っている人もいて、ちょっと焦りつつ頑張って活動してる。
 そして今日は、とある企業の一次面接だ。内容は三人での集団面接になる。
 僕たち三人は、部屋に入って一礼した。
 面接官は僕たちを見ていたけど、僕の左にいる人から発言を促した。
「○○大学の秋山です」
 そう挨拶した左の人は、面接官の「お座り下さい」の声を受けて椅子に座り始めた。
 って、ええぇぇ!?
 何か左の人、靴を脱ぎ始めましたよ!? しかもそのまま、椅子の上に正座しちゃったよ!?
 面接官も面食らったようだが、続けて僕に促してきた。
「あ、はい。□□大学の浜松です」
 僕にも「お座り下さい」と声を掛けてきたけど、どう座ればいいの!? 普通に座っていいの? それとも僕も正座すべきなの!?
 慌ててしまった僕は、結局、靴を脱いで椅子に正座して座ってしまった。
 少し諦めたように、面接官は続けて僕に右にいる三人目を促した。その右の人は
「××大学の小野です」
 と挨拶して、面接官の声を受けてから普通に座った。
 あっ! 僕も普通に座れば良かったんだ! つい、前の人に影響されて正座してしまったけど、この方が不自然じゃないか!?
 とはいっても、今から座り直すわけにもいかないし……。どうしたら……?
「それでは、当社を志望した理由を教えて下さい」
 妙な雰囲気のまま、面接は始まってしまった。面接官の質問に対して、左の人は
「それがしが御社を志望した理由は……」
 と話し始めた。
 そ、それがし……!? 何でこの人、自分のことを「それがし」っていってるの? 面接では「私」を使うようにいわれなかったの!?
 動揺を抑えきれないまま、僕が発言する番に来てしまった。
「ぼ、僕が志望する理由は……」
 し、しまった。目茶苦茶声が裏返っちゃったじゃないか。しかも、結局地の「僕」を使っちゃったし……。
 僕がテンパっている間に、三人目はやっぱり普通に、「私は……」と難なく話していった。
 結局僕は、いいたいことも話せないまま、面接は終わった。
 慣れない正座をしたせいで足も痺れるし、散々な面接だった。
 結果? そんなのもちろん駄目でござるよ……。

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