2008年8月7日木曜日

雑記『時制の一致』

小説(というより文章)を書く上で、人から「~た」が多いと指摘されたことがある。
そのときは、正直な話「そんなに多いだろうか?」と感じていた。

しかし最近になって、その理由の一つ(と思われるもの)が分かってきた。

それは、過去、現在を意識していないのではないか、ということである。
少し英文法のような表現になるが、時制が一致していなかったから「~た」が多い文章になっていたのだと思う。

いうまでもなく「~た」は、過去を表す表現、つまり過去形である。
その過去形を現在行っている、あるいは行おうとしている行為に対して使っていなかっただろうか。
だからこそ、おかしくなっていたのだろう。

とはいっても、少し分かり難いと思う。
だから、具体例を挙げる。


例)俺はこう言ってやった。
 「だからお前はダメなんだ」


これだけを見ると特に問題がないように思える。

しかし、過去形で述べた後に行為がきている。
文章自体は過去形なのに、実際の行為は現在、あるいは未来に行われている。

ほとんど同時だとはいえ、これは明らかにおかしい。
文章を書くには、今述べている行為が、ホンの一瞬であったとしても過去なのか、現在なのか、あるいは未来なのかを意識する必要があるのだろう。

先の文章もそれだけだと、特に意識されないかもしれない。
しかし、こういった表現が積み重なれば違和感が出てくるだろう。
この積み重なった違和感の結果が、冒頭の「~た」が多いという評価に繋がったのだと思う。

このことに気が付くまでは、語感だけで文章を選んでいた。

また、他人の文章を読んで、過去形と現在形の数を数えてみたりもしていた。
その上で、自分の文章の過去形と現在形の数を数えて比べていたりもした。
だからこそ、「そんなに多いだろうか?」という思いも抱いていたのだ。


しかし、たまたまワシ自身が「~た」が多いと感じる文章を読んで、気が付くことができた。
ここなら「~た」じゃなくていいんじゃないか、と思ったことから、特に過去形で書く必要がない場所を過去形で書いていると感じ、そういう場所で「~た」を使っているからこそ不必要に「~た」が多いという印象に繋がっていたのだと気が付いたのだ。



ということで、先日全部の作品の時制をチェックした。
話や表現自体は変えていないし、その点のみに絞っているので特に読み返す必要はないと思うが、多少の修正も加えた。
今後も、こういう風に自分の文章の悪い点を見つけたら修正を加えていくつもりだ。

その点は、まだまだ修行中だということで、ご了承頂きたいと思う。

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